上映スケジュール
上映期間:2021/11/13(土)〜2021/11/26(金)
本作品の上映は終了しました。料金
解説
『これは君の闘争だ』は学生運動を通じて、ブラジルの歴史における近年の熱烈な事象を理解しようとする試みである。ナレーションは3人の高校生たちが論じ合う形式をとっており、彼らは身をもってフェミニズムや LGBTQ+の闘争、反人種差別主義といった彼らの世代の交流の重要さを痛感し、それを伝えている。彼らは 2013 年の大行進に立ち会い、2015 年にはサンパウロでの抗議運動と学校占領を経て、そして、2016 年のジルマ・ルセフ大統領の罷免を語ると同時に、2018 年のジャイル・ボルソナロの勝利を語る。本作は奇しくもボルソナロ大統領就任の2ヶ月後、ベルリン国際映画祭で初上映された。
エリザ・カパイ監督が生まれた時代、ブラジルは未だ軍事独裁政権下にあり、学生連盟は違法とされていた。カパイは学生闘争や両親の政治的迫害・投獄を聞いて育ち、その後、1988 年に民主主義が復権すると、12 歳のカパイは学友たちとともに学生連盟を設立した。同年、ブラジルでは新たな憲法が制定され、国民たちは奴隷制撤廃から 100 周年を祝った。各学校では、ブラジルは「人種民主主義」であると教え、国民たちは平和的かつ好意的だったが、その時はまだ、この国が飢餓や射殺によって、所得の不平等やあらゆる暴力が世界のトップ水準にあるという事実は無視されていた。しかし、近年、歴史的に疎外されてきた非白人層の貧しい人々を考慮した公共政策が施行され始め、彼らも教育、衛生、食料といった基本的な権利を得ることができるようになってきている。この期間に生まれた最初の世代は、ブラジルの歴史の過ちを指摘するため、自ら声を上げ始めた。そして、2013 年6月、ブラジル最大の都市サンパウロの路上で、バス料金 20 セントの引き上げに抗議する何百万人規模の大行進が行われた。初めのうちは、群衆はより包括的で便利な都市を要求していたが、すぐにその 20 セントの要求は、政治と政治家への深い嫌悪感のなかで、さまざまな他の要求へと変わっていった。
2015 年 10 月、2年前の大行進で大衆の力を味わったサンパウロの高校生たちは、州の公立学校に対する予算削減案(実質的な廃校案)に対抗して、自ら組織化し始めた。そして、11 月までの間に200 以上の学校が、より質の高い公共教育を求める学生たちによって占領された。彼らこそが、進歩的な公共政策の下で育った最初の世代であった。一部の民衆はこの占領をキラキラとした目で見つめていた。そこには希望があり、その悪辣な子どもたちによる闘争は、大きな変革の始まりであった。
しかし、そのわずか3年後にブラジルで初の極右大統領であるジャイル・ボルソナロによる政権が成立することになる。彼の選挙公約は、全ての「侵略する」社会運動をテロリストとみなし、「赤たち」を掃除すること、つまり「左翼」を追放・投獄することを含んでいた。ボルソナロは当選の際に、学生たちに対して、左翼的な教授の講義を記録することを推奨し、「マルクス主義者の教化」と、あらゆる歴史や社会の理論的な構築を終わらせることを約束した。あの時、ブラジルで何が起きたのか?
彼らはどのようにして、ここに“戻って”きてしまったのだろうか?
スタッフ
監督、脚本:エリザ・カパイ プロデューサー:アリアナ・ジェネスカ
ナレーション:ルーカス・“コカ”・ペンチアド、マルセラ・ジェズス、ナヤラ・スーザ
撮影:エリザ・カパイ、ブルーノ・ミランダ 編集:エリザ・カパイ、ユリ・アマラウ
音楽:Décio 7 音響:Confraria de Sons & Cigars
作品データ
原題 | ESPERO TUA (RE)VOLTA |
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制作年 | 2019年 |
制作国 | ブラジル |
配給 | 太秦 |
上映時間 | 93分 |
公式サイト | https://toso-brazil.jp/ |