上映スケジュール
上映期間:2022/01/29(土)〜2022/02/11(金)
本作品の上映は終了しました。料金
予告編
解説
救国の戦いから異端審問、そして刑の執行へ──華麗なる心理活劇
馬術ショーのような戦闘場面。言葉が累積し充満する裁判場面。あまりに奇想天外な相貌を見せた『ジャネット』と打って変わり、様式的な画面と白熱の議論に彩られた、サスペンスとアクションが華麗に展開する。『クレールの膝』『満月の夜』などエリック・ロメール作品で知られる、ファブリス・ルキーニがフランス国王シャルル7世として出演。フランスの歌手クリストフが劇伴の作曲を担当。異端審問の陪席者の一人として不気味に出演し、その美しい歌声を聞かせている。
物語
15世紀、フランスの王位継承をめぐって、フランスとイングランドが血で血を洗う争いの時代。若きジャンヌ・ダルクは、「フランスを救え」と言う神の声に導かれてフランス王の軍隊を率いていた。神、愛、罪、福音と祈りを説くジャンヌだが、その力に畏怖と疑心を持った味方の軍内部から反発が生じる。やがてジャンヌはイングランド側に捕らえられ、教会によって異端審問にかけられる。抑圧と支配の濃密な論理で迫る「雄弁」な男たちを相手に、反駁の叫びと沈黙で応じるジャンヌ。告発に屈せず、自らの霊性と使命に忠実であり続ける。
監督は、現代フランス映画において一筋縄ではいかない挑発的な作品を発表してきた鬼才、ブリュノ・デュモン。原作は、シャルル・ペギーの劇作『ジャンヌ・ダルク』(1897)と『ジャンヌ・ダルクの愛の秘義』(1910)。ペギーは、ジル・ドゥルーズ、ヴァルター・ベンヤミン、ジャン=リュック・ゴダール、そして須賀敦子らを魅了したカトリックの詩人・思想家であり、ジャンヌ・ダルクがイングランド軍から解放した都市オルレアンの出身。デュモンは、ジャンヌ・ダルクの生涯を特別な想いを持って描いたペギーの詩劇を、仰天ともいうべき演出・手法によって、二つの映画作品に仕上げた。
『ジャネット』では神の声を聞く体験と戦いに旅立つまでの幼年時代を、『ジャンヌ』では異端審問と火刑までを描いている。
スクリーン上にジャネット=ジャンヌがいる。そこでジャネット=ジャンヌは、歌い、踊り、ヘッドバンギングし、馬に乗り、甲冑を纏い、弁論し、抵抗し、何者にも支配されず、いつも孤独に闘っている。怠惰にも性急にも思える極めて独特な時間が全編にわたって流れる中、一体全体、何が起こっているのか!?
神話でも伝説でもなく、今、わたしたちの目の前で起こる現実の出来事として、ジャンヌ・ダルクが立っている。数多の「ジャンヌ・ダルク映画」とは全く別の様相を呈し、それまでのジャンヌ像を逆なでするかのような、ユニークでいて破壊的な本作。これは新たな視座からなされる「真なるもの」の探求なのだ。
画面を見つめながら震撼し、呆然とする間に途方もない地点へと連れ去られてしまうような経験と体験。破局を目前にしたように凋落していく現代世界に対峙する、愛と神秘の歴史劇。
© 3B Productions
スタッフ
監督 ブリュノ・デュモン
キャスト
リーズ・ルプラ・プリュドム ファブリス・ルキーニ
作品データ
原題 | Jeanne |
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制作年 | 2019 |
制作国 | フランス |
配給 | ユーロスペース |
上映時間 | 138分 |
映倫区分 | G |
公式サイト | https://jeannette-jeanne.com/ |